早期英語教育を専門家はどう考える。
早期英語教育を専門家はどう考える。
5月31日の朝日新聞の紙面で、英語教育は早いほどいいの?という特集が大きく組まれていた。実はこの論争明治時代にさかのぼるという。ご存知の方もいると思うが、明治時代一部の小学校では英語が教えられていた。とうの昔に亡くなった私の祖父も英語が話せた。僧侶であった祖父は、寺に入ってきた外国人の押し売りを英語で丁重に断ったという話しも聞いた。戦前は海軍などが非常にスキルの高い英語教育をしていた時代もあるが、どれもこれも一過性で、さらに大戦後は高校大学の進学者の急増とともに、いわゆる受験英語が定着し、これが英語を話せない日本人製造の主原因にもなってしまった。しかし実業の世界では英語が話せないとグローバルな世界とは戦えないということから、経団連が中心となって小学校からの英語教育を提言した。なのだが。。。2015年の今となっても英語教育の大改革は行われていない。文科省は2020年から外国語活動を小3からに早めると言っているが、私は手ぬるいと思っている。なぜならお隣の中国や韓国の英語教育授業数は日本人の2倍、内容も聞く、話す、読む
書くの4技能をお教えている。英国の文化交流機関British councileも日本へのメッセージに、東南アジアでは英語はグローバル社会を生き抜くために不可欠な能力。国家を挙げて英語習得に取り組む姿勢が濃厚だが、日本ではそれが確立されていないとも言っている。
元上智大学外国語学部の学部長の吉田 研作氏は、私も現役時代にお世話になった。言語学の大家でもある吉田氏は、言語学を遊びながら体験として覚える能力は幼児期が一番高く、その後に知識として学べばすんなり身につくと言っていた。吉田氏が文部科学省の英語教育審議会の座長を務めたときにこの話してを聞き、私はランゲージ幼稚部を立ち上げようときめた。NHKでおなじみの鳥飼 玖美子氏は、今の日本のシステムでは、英語嫌いの子が増え、まして英語が教科になると、教え方から教材まで作り直さなければならず、人材育成が全く追いつかない状態だという。英語教育の早期化の背景には財界の強い要望があり、2012年代に出したグローバル人材育成戦略には、外国人で闘える人材を育てたいという強い期望があるが、鳥飼氏は真のグローバル人材とは相手と折り合いをつけ、異文化を理解する力があってこそ世界で活躍できる人材だと言いきる。特に中学時代の英語教育は力を入れるべきだと言っている。英語教育のオピニオンリーダーでもある両氏、早期英語教育に関しては異なった意見を持っているが、アジア諸国から今以上にたくさんの若者が仕事を求めて日本人のやってくるとき、日本人の若者は本当に戦っていけるのかということを心配している。中学まで待って英語教育を始めるのもいいかもしれない。しかしそこには受験、部活、習い事、交友関係などが、英語学習だけに集中できない環境を作り出すことは明らかである。であるなら、幼児期であると私は考える。2歳の子供が中学になるまでには10年という年月があるのだから。
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