小学校の英語教育の在り方と保護者の役割
文部科学省の資料を見て驚いた。まさに私が日頃保護者の方々に声を大にして話していることと一緒だからである。例えば●バイリンガル教育を行うことによって、国語の学力が低下したという研究結果は生じていない。逆に自分の考えを表現する力や日本語を使う積極性が育まれている。●外国語教育と国語教育をすり合わせて、言語教育として共通の目標に立つことで小学校の段階で相乗効果が期待できる。●国語と英語の相乗効果を狙うべきである。お互いの言語に良い影響をもたらすというフィードバックが必要である。●英語や国語を通して、言語や文化に対する理解を深めることを目標に、言語の面白さや豊かさに気づくことで言語への学習意欲が高まる。●グローバル化が進む中で、国際社会で活躍する人材の養成ということだけではなく、日本人自身の国際化を考えないとアジアの中でも取り残されてしまう。●国際的なコミュニケーションツールとしての英語という位置付けをする必要がある。国際戦略として検討していくことが重要である。
などなどもっともなことを云々しているのだが、実際に小学校の現場で行われている、また行われようとしている英語教育の現状とは隔たりがあるような気がする。同じ文科省の見解の中で海外の英語教育の現状を紹介している。●中国では2001年から必修化を発表し、段階的に都市部から導入。2005年には小学3年生から週4回以上のクラスを実施し、6年生までに600〜700の単語を学習する。
現時点での中国の英語教育は地域差こそあれ、日本以上にシビアーに取り組んでいることは間違いない。お隣の国が熱く英語教育をしているのに日本では未だに2020年からの英語教育の具体的な方法がバラバラで、各校長の采配によるところが大きい。これは本当に困ることで、英語に関心のない校長先生のいる学校に行ってしまうと、不足部分を担保するために英語塾を選択し、what is your name, how old are you? What is this color, what is this
shapeなど、子供達でさえまたかと思うような学習内容にお金を払うことになる。正直各公立学校の校長先生の英語に対する意識には個人差が大きい。私も何人もの校長先生にお会いしているが、小学校英語の将来を真摯捉え考え行動を起こそうとしている先生と、英語を厄介者と考えている先生とでは、学校としての英語の取り組みに大きな差が生じる。文科省が上からの英語教育指針として、校長先生はこれとこれは必ず導入しなさいというような決まりがあった方がいいようにも思う。
この3月に卒園する園児さんの保護者の方々に重ねてお願いしたい。英語教育にはしっかりと取り組んでほしい。子供達が大人になる頃、日本には今より多くの外国人が住むようになる。また海外との交流ももっと多くなり、残念ながらグローバル企業の海外植民地政策は止まらない。少なくとも英語を自分の言葉として話せれば、どんな状況になっても食いっぱぐれはない。情操教育のためにピアノや心身のバランス強化のためのサッカーも大いにやってほしい。しかし英語は習い事の範囲ではない。日常での毎日の積み重ねである。塾に行かなくてもできることはたくさんある。塾で毎回名前や色や形を云々する英語学習は過去のものである。子供達のためにできることを考えてほしい。私はバイリンガル小学校のことを考える。
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