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ILH代表黒部のブログ

2022/6/23

アメリカのメジャーテレビ局NBCは、Nightly NewsにKids Editionがあって大人向けのニュースを子供向けに編集し解説している。例えばウクライナ問題。
毎日のニュースではロシアが悪者でウクライナは被害者(事実そうなのだから仕方がないが)という視点から報道し、今日は何人戦死したとか、どこそこにミサイルが打ち込まれたなどという話ばかりである。しかしこの放送局の子供版は、まずウクライナがどこにあって、どんな人たちが暮らしていて、どんな産業があって、学校ではどんなことを勉強しているのかというような視点から、その国のことを解りやすく説明し解説している。多様性の国アメリカではウクライナ系住民も多く、またロシア系(第二次世界大戦中、ロシアから多くのユダヤ人がアメリカに移民している)住民はアメリカのいたるところで活躍している。
今世界は色々な問題を抱えているが、国の政治や経済に関連した報道は、報道局の主観が入ることが多く、時として偏った報道がなされてしまう。これを子供達が鵜呑みにして理解すると、ある国に対する偏見が出来上がってしまう。親は気づかないことが多いがメディアの影響力は徐々に子供達にも影響する。
 私はロシア人の友達がいる。その人に今のウクライナ問題を聞いてみると、あれは内戦なので他国は関与すべきではないし、アメリカやEUに操られてはならないというような意見である。確かにロシアがソビエト連邦( USSR)だった時代からの歴史的背景ではウクライナは連邦の一部である。しかし私たちから見ると、そうであっても戦争や人殺しは許してはいけないと思うのだが、ロシア人も殺されているのは真実である。最近日本がロシア大使館で働くロシア人を強制帰国させたのも、そのロシア人の友人にとっては、日本は今の戦争に左右されない将来的な国の利益を優先するべきであるという。その人は日本に20年以上暮らし、日本人と結婚している。子供達も日本の教育の中で育ちバイリンガル能力もある。しかし子供達がウクライナの状況をテレビ報道で見ながら、何とも複雑な表情になり、ロシアに対しての好感度が消えていくようだという。母親は子供たちが学校でウクライナ問題が原因でいじめにあったりしないないかを日々心配しているという。
私は歴史教育、特に国同士の争いに関しては、必ず戦争が起こった理由を、戦争という事実よりも大切なこととして子供達に説明してほしいと思う。以前イスラエルのホロコーストミュージアムに行った時、ユダヤ人が迫害にあって辛い、悲しい、恐ろしいという部分はしっかりと伝わってくるのだが、何が原因でこうなったかの説明はなかった。それがないことでユダヤ人の悲しい歴史だけが強調され、このような歴史を繰り返さないためには何を学ばなくてはいけないかが不明瞭となっている。
保護者の方々にお願いしたい。全ての争いごとには発生理由がある。解決方法の歴史もある。小さい頃から子供達に「理由」というものをしっかりと説明することで、将来子供達が同じような問題に向き合った時、一つの考え方の助けになる。戦争は怖いね、嫌だね、悲しいねという場面を見たら、なぜこうなったのかを家族で考え話し合う、そんな時間を持ってもらいたいと願う。

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