• お問合せ
  • facebook
  • twitter
  • youtube
  • entry
ILH代表黒部のブログ

黒部さん家の教育事情 6/18

日本にもママとベイビーのサークルがあるように、NYにもベイビークラブがあった。親子でリトミックをしたり、遊んだりと日本のそれとあまり変わらないが、クラスの後に始まるママ達のおしゃべりの内容は政治、経済、教育と多方面に及んでいた。特に政治の話になると熱くなるママが多く、選挙前などは民主党、共和党とグループが別れてしまうほどだった。この政治意識は子供の教育にも影響していた。例えば民主党(現オバマ大統領の党)は社会福祉や教育に手厚い保護を公約している。逆に共和党はビジネスを活性化させ国民全体に仕事がゆきわたることで社会の安定化を公約している。これをママは子供達にこう教える。「ここに一つのパンがあります。みんなはこのパンを今食べたいか、それとも、このパンは食べられないけどパンの焼き方を教えてもらって、毎日パンがたべられるようにしますか。」つまり前者が民主党、後者が共和党の考え方なのだ。これを日本に置き換えてみると、共産党あたりがパンを与え、自民党はその作り方を教えるのかというと、そうはっきりとした線引きはできない。ともかく、このようにしてママ達の会話は続く。なのでかなり英語も鍛えられる。私も政治に興味がないわけではないので、この高度な会話についていく為に自宅学習までしてしまった。
ベイビーサークルの話にもどる。インターナショナルベイビーサークルとはこのことを言うのかと思うほど、世界中のママに出会った。それぞれに国民性なのか、子育てやしつけ、教育に特徴があった。フランス人は自国愛が強く、子供にはかたくなにフランス語のみを使う。子供が英語で答えるとNon! parle France!と手厳しい。イギリス人も同じでクイーンズイングリッシュに徹するので、子供がwhat?とかでたずねようものならExcuse me, I beg your pardon?といってwhatを無視、アメリカ英語を無視する。東欧系はママもちょっと地味な感じだが、子供がなんらかの理由で無視されると烈火のごとく反発してくる。アジア系はこと学習のことになると大変熱心で、他人の子供と比べたがる。この辺は日本人も一緒で、数を100まで言えるかどうかで、自分の子供が言えないとわかると、自宅で特訓もいとわない。アフリカ系もプライドが高く、特にNYに来ているアフリカ系の子弟は親が外交官だったりが多いのでなおさらである。誕生日なども派手で
アフリカンキングの世界そのものである。ただなんといってもダントツに教育熱心なのはユダヤのママ達である。ユダヤ民族を絶やさずというのがこの人たちの使命であるから、子供の教育も肝いりである。また子育てはお金なしには不可能という意識がはっきりしているから、赤ちゃんが誕生すると大学を卒業するまでの教育企画書が作られる。
私が3人目の子供を出産したときに、あるユダヤの友人から教育資金はどのように捻出するのかと聞かれ答えられなかった。彼らにとって出産とは、きちっとした事業計画のもとに行われるもので、そこで資金難などが予想されれば子供は作らない。学校を選ぶのも、コストパフォーマンスのすぐれた学校をいくつか選択し、大学に至っては奨学金獲得作戦までもが含まれる。実際、このようなしっかりとした計画のもとに子供の教育が行われているので、NYのトップスクールはほとんどがユダヤの子弟で占められる。ユダヤママの子育て理念ははっきりとしている。1、子供を誉めちぎる。2、教育にお金を惜しまない。3、子供にいい影響を及ぼす友のみを選択する。4、ユダヤ教を生涯の宗教としてあがめる事を教える。ただこれらが行き過ぎるとユダヤ以外のママ達から反感をかう事になる。事実行き過ぎる事が多いのでユダヤママとは一線をひくママも多い。私としては強い信念と計画性をもって子育てをしているユダヤママを尊敬している。事実自分もユダヤママのように計画性のある子育てをしていれば、大学の学資でローンを組んだりすることもなかったかと反省しているのだが。(つづく)

PAGE TOPへ