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ILH代表黒部のブログ

黒部さん家の教育回顧録 行きたい学校に入る方法

Horace man schoolの教育レベルが高いことは前号でも述べた。娘は面接でどのくらい勉強が好きかと聞かれたらしい。
学校いわく、勉強しなければ深く考える事ができず、自分の話すことや、書く事をどう人に伝える事ができるかがうまく表現できない。これは学生時代のみならず、社会に出てから自分の意見や考え方、発見やアイディアをいかに人に伝えるかで人を成功に導くかどうかが決まる事もあるから、勉強が好きだと将来も必ず役立つスキルが身に付くと自信満々にいうのである。
 さて、長女は補欠リストに名を連ねていた。Horace man schoolには転入希望者が後をたたない。しかし退学者も多いので補欠リストにはいつも数名が名を連ねているらしい。この学校は高校まであるが、小中でも退学になることはよくある。勉強ができないというだけではなく、勉強が嫌いであればよそへ行ってくれというスタンスである。日本で小学校を退学になったら末代までの語りぐさになりそうだが、アメリカの社会では普通のことである。
 補欠という知らせを受けてから、友人に相談した。どうしても入りたかったら毎日電話をしろとのアドバイスを受けた。なんだかビジネス交渉のようなアプローチだが、補欠は100%入学の可能性が無い訳ではない。やるだけやってだめならしかたがない、そんな思いで学校に電話をかけた。
 ” Hi, this is Tara’s mother, I would like to know if any possibility that my daughter can get into your school?”
” Tara? so which one?”
” which one?”
” yeah, we have 5 Tara waiting on the list”
” Tara Kurobe that is my daughter’s name”
” Well, you should call us back later”
あっけらかんとしてしまうほど、意味の無い会話だったが、こちらも腹を決めて、毎日午後2時に必ず電話を入れる決意をした。とにかくあと4人のTaraには負けられない、こうなったら親の意地で攻めるしか無い。私は電話営業マンになったつもりで淡々と電話をかけ続けた。しかし2月末になっても最終結果は出てこなかった。
2月27日、その日は娘の誕生日だった。ニューヨークの2月はメチャメチャ寒く、雪空だった。
 ” Hello, this is Tara’s mother speaking”
” what’s up?”
ここで私はこういった。
 「実は今日娘の誕生日なので、プレゼントを考えていたのですが、もしあなたが娘の入学を許可してくれたら最大のプレゼントになるのですが。」
 「娘さんの名前は?(今太良の母親だと行ったはずなのにやっぱり聞いてない。)」
 「太良です。今日は彼女の誕生日です!」
 「OK, ちょっと待って、今確認します。」
  5分ほど待たされた後で、
 ” Congratulations! she gets in!”
なんと!合格した!お誕生日だといったら入れてくれた。言ってみるものである。親心が通じたのか「やった!」だった、が、後で冷静になって考えてみると、この補欠リストの信憑性はいかにである。もしお誕生日でなければ入れなかったのか、あるいは相手が私の電話に根負けしたか、いづれにしろ日本ではまず考えられないことであった。
晴れて合格が決まり、本人も見学や面接で出会った先生達の印象が良かったせいか、転校を快く受けているようだった。
さて、次は次女の番である。

黒部さん家の教育回顧録 転校

黒部さん家の教育回顧録 

アメリカの私立はおしなべて授業料がメチャメチャ高い。これは日本人の私だけではなく、アメリカ人全員が思っていることである。例えばニューヨークにあるコロンビア大学の学費は年間470万ほどかかる。ハーバード医学部などは700万以上もする。黒部家のように子供が5人もいるとニーズベースの奨学金制度(つまり子供が多いから教育費を捻出するのも大変というニーズから)があるが、殆どは国や州が貸し出す教育ローンにたよるしかない。実際私の子供達もニーズベースの奨学金プラス教育ローンで学費をまかなったので、いまだにその返済に追われている。
娘が大学に行っている頃、ある親が発起人となって授業料に関する学校側との公聴会を開いた。ある親はこう聞いてきた。「こんなに高い授業料を取るなら、せめてカフェテリアをもっと美味しくしてもらえないですか。娘はこの大学に入ってから寮の食事が不味くて文句ばかりです。親はこんなに高い授業料を払っていて娘に文句をいわれたんじゃやってられませんよ。」私はこの意見にまったく同感であった。
アメリカの私立学校の授業料が高い一番の理由は、施設及びスタッフなどもろもろにかかる保険料の高さだ。逆に先生達のサラリーは思いのほか低く、私立学校は公立より安月給なのには驚かされる。私立学校の先生になるには教育そのものに人生をかけるぐらいの勢いがないと勤まらない。
さて、国連学校のPeace and share教育に満足できずに、学校ハンティングを始めたのだが、流れはこんな感じである。まず希望校に電話をかける。転校したいと伝える。断られるところもあるが、日本人はマイノリティーの部類に入るので編入の可能性は高い。つまり各私立学校は有色人種を入学させなくてはいけないことになっていて、日本人もその枠に入る。条件は前の学校での成績がいいこと、面接で聞かれた事に対して的確に答えられる事である。そして親も。
長女は国連学校からマンハッタンの北部リバーデールという地区にあるHorace Man schoolへの転校プロジェクトを試みた。この学校は1887年にコロンビア大学の分校として創設され、現在ではハーバードにもっともおおくの生徒を送る全米高校の5位に入っている…というぐらいの受験校である。なぜこの学校を選んだかは簡単で、アイビーリーグに近い高校だったからだ。8大学からなるアイビーリーグは、ブラウン、コロンバイア、コーネル、ダートマス、ハーバード、プリンストン、ペンシルバニア、イエ−ルからなる東部有名校をさす。
私自身はアメリカの留学経験はもたないが、学生時代はプリンストン大学に本気で憧れ入りたいと思っていた。ホーレスマンはニューヨークの教育に超熱心なユダヤ人家庭の子弟が多く、また寄付金も中途半端ではないので、そのアカデミックなレベルのみならず施設も充実している。ただ殆どの生徒は同校付属の幼稚園から入ってくるので、各学年への編入は狭き門である。が、これを知ったのは娘の編入が決まってからで、それまでは無知の怖い門知らず、規定をクリアーすればだれでも入れると思っていた。試験はニューヨーク市で行われる共通一次のような試験で規定の成績をとることと面接である。この面接は個別ではなく、クラスに参加する形で行われる。
結果はというと補欠だった。(つづく)

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