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ILH代表黒部のブログ

2024 AUGUST

夏休みも後半に入った。お盆休みも終わり、楽しいことはほぼやってしまったが、後
半の二週間どう乗り切ろうかと考えあぐんでいる保護者の方々も多いかと思う。お子
さんを認可園に通わせていても、また幼稚園に通わせていても、親としてこの夏を十
分子供と共有できたかとか、いつもはできないことを一緒にしてやったかなど、ちょ
っとした夏休親心の反省会、みたいなものが湧いてくる。
私の子供達が幼かった頃、夏休みが始まる6月、具体的には5月の後半から気が重くな
るのがいつもだった。アメリカの夏休みは異常に長い。富裕層は4月に街で行われる高級
サマーキャンプ展示会に参加し、ほとんどがその場で予約をする。(現在はネット予
約になっている)実は日本人を対象にカリフォルニアの中学高校がSummer Campを
企画していて、Sleep over campなら二週間の料金がざっと$3000(¥450000)であ
る。ただし料金の中には宿泊先のホームステイ料金、航空券、空港からの送迎、おま
けに留学手配費用($200)は別料金となっている。航空券を含めると$3000プラス
$3000は軽くかかりそうで、トータル料金は$7000、つまり軽く100万はかかる二週
間のサマーキャンプとなる。
アメリカの富裕層はこぞって自分の子供達をヨーロッパの国々に送りたがる。秋にな
ると”My son spent a month in Finland! He really enjoyed a lots in a forest!”とか“Oh my
daughter stayed with French family in Bordeaux, now she speaks French!” 最近では
“My kid stayed in Japan for few weeks with Japanese family and enjoy Japanese food!”
などなどの会話がマンハッタンの私立学校の新学期には当たり前になるが、どの話を
聞いても自慢話であることは間違いない。
さて、今日本にいる我々は、もっと現実的なところで夏休の後半を考えたい。先日あ
る保護者と話をした。お子さんは東京の幼稚園に通っている。この方の悩みは“すっき
りしない“という悩み。何がすっきりしないかというと、この夏休みに園でやってもらえ
ていないことをやろうとしたが、子供達から反発を喰らったとのことだった。男の子
たちなのでワイルドなキャンプを体験させたいと、商業的なキャンプ場ではなく、群
馬の山奥で炭焼きをしていた親戚が、そのままにしている炭焼き小屋に連れて行った
ところ、電気も水道もない、まして火は自分たちでお熾そうというお父さんの計画の
ハードルが高かったのか、夕方になったら泣き出してしまい、早くお家に帰ろうとい
うばかりで取り憑くしまがない。おまけに妻からは、“まだ5歳なのに何もない山奥で水
汲みや、火おこしは無理!と言われてしまったとか。お子さんの通う園では、お泊ま
り会があり、お迎えに行った時にはニコニコ顔で“カレーライス作り楽しかったよ“と
いっていたのだが、これが今ふうのキャンプなのかと考えると複雑な気持ちになった
という。でも迎えに来ていた保護者のほとんどが“すごいね、カレーライス作れたのね。
”と、まるで登山をして一山制覇したようなほどの誉め方を見ていて、転園させよう
かと真剣に思ったという。

アメリカの高校ではサバイバルキャンプというプログラムがある。5人でチームを作り

、学校から渡された地図を頼りにスタートからゴールまでをGPS無しに制覇する。一
番重視されるのがチームワークで、5人が知恵と勇気を出し合ってゴールに辿り着くこ
とで強い達成感と責任感を養うという。私の子供達もキャンプを体験しているが、2時
間ぐらいは楽しくルンルン気分、4時間過ぎると全員が心細く、6時間経つとギブアッ
プしたくなるのが正常な心理だという。もちろんこんなキャンプを幼児達にはできな
いが、人生のあるとき、一度や二度は体験すべきものではないかと思う。
今私たちの周りは“お膳立て“がまかり通っている。よくある“夏休み体験会“や“親子体
験キャンプ“など、コマーシャルベースで行われているイベントは掃いて捨てるほどに
紹介されている。子供達への“ちょっとの苦労や努力“を目的とした内容のものはあま
り多くはないように思う。作品の制作も半分ぐらいは最初からできていて“作品を持ち
帰る“が目的になっていたり、その安全性を重視するあまりに、子供達が今ひとつはっ
ちゃ気になれないようにも思う。
私は幼稚園の頃“ぴょんぴょんごごっこ“という、自分とお友達がウサギの家族になり
、近所の崖に穴を掘って住処を作り、土でおむすびを作り、木の実や雑草をおかずに
したて、時には家からマッチを持ち出して、小枝を燃やしたりとやりたいことを全部
やった記憶がある。確かに昔に比べると自然環境は変わってしまったが、子供達が一
日自由に時間を使って、空想の世界で遊ぶことはできる。残り少ない夏休み、お金をか
けず、人生で楽しい時間の思い出を作れる幼児期、親も一緒になって俗界を離れる時
間を作って、夏休み明けのエネルギーを蓄えるのも悪くはない。

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