子育ての悩み
現役で子育てをしている方々の中で、悩みゼロの人はまずいないと思うのだが、
日本のような保育園が確立していないアメリカでは、子供の預け場所が見つからないというのは非常に大きな悩みとなる。
アメリカで未就園児の子供を預ける場所といえばベビーシッターか託児保育。しかし両方ともべらぼうに料金が高い。5人の子供たちが幼かった頃、私の生活の70%が主婦だった。残りの30%を物書きの時間に当てていた。数年後に本物のジャーナリストになるのだが、まだ長女が生まれて間もない頃は自己満足での執筆なのでギャラも雀の涙ほど、しかし一度ベイビーとの分離時間を味わうと、自分の時間がもてる快感が癖になった、なんというか麻薬みたいなもので3日ぐらいは大丈夫だが4日目になると無性に自分の時間が欲しくなる禁断症状がでる。
そこで探したのが保育おばあちゃん。1時間$8で朝8:00から夜8:00まで預けられる。ただ保育室はおばあちゃんのキッチンなので生活感丸見えでおせいじにも綺麗とはいえない施設だった。しかし考えてみると子供たちはそのおばあちゃんに大変お世話になったばかりではなく、ベイビーとしての一般常識を教えてもらったと思っている。簡単にいえばsharing, giving, loving の実践である。お友達とは必ずシェアーをする、持っていない子には与える、お友達を心から大切にするというようなことだが、おばあちゃんはこれを徹底的に躾る。ある日息子を迎えに行ったら”your son doesn’t know how to share the things with other kids! you have to train him at home!” と言われた。息子から裏事情を聞くと、持参したプラレールを友達とシェアーしなかったからだという。自分のもだからしょうがないじゃないかと思って翌日おばあちゃんに聞いた。帰ってきた返事はこうだった。”it is not important to share the thing but more important is to share your heart”なるほど、物はともかくシェアーするという心が大切というおばあちゃんのしつけは柱がある。またトイレットトレーニングも徹底していた。まずは子供に今日使えるオムツの数を教える。もし足りなくなったらお尻丸出しになることを教える。これがとても恥ずかしいことだと教える。これを繰り返し話し、また実際にトイレでトレーニングするときは最大限褒めてあげる。次男は保育おばあちゃんの家に通い始めて2ヶ月でオムツとさようならをした。おばあちゃんは子供と話すのがとても美味かった。スナックタイムなど覗くと、まるで茶飲み友達と話しているように子供たちと会話する。
今考えると衛生面では決して褒められたものではなかったが、それ以上に子供たちの心の安心を作れる場所であり、同時にしつけを自然な形で育むおばあちゃんの知恵が凝縮したところであった。
今の日本の保育は、安全面はともかく、衛生面、学習面などに特化するあまり幼児期の子供たちと何を話し、何を聞かせるかの時間を取れないところが多い。保育というシステムの中で子供たちが一元化して行くことだけは避けなければいけない。
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