フランスの幼稚園訪問記
この11月、フランスの南トウールーズにあるバイリンガル幼稚園と、英語教育を重視している小学校を見学した。目的は2019年に予定しているフレンチプレスクール(フランス語バイリンガル保育園)の開園に伴う現地でのバイリンガル保育の現状と、保育士の労働条件、そして同県にある教育委員会での英語担当者とのミーティングだった。まず何故フランス語保育園なのかを説明する。
ランゲージ・ハウスバイリンガル幼稚園がスタートして来年で9年目になる。今やっとランゲージバイリンガルメソッドの形が見えてきている。これを英語から他言語に変換した時、これからの日本に必要な言語は何かと考えた。現実だけに目を向ければ今日本に多く滞在している中国語や韓国語、ベトナム語といった言葉を話す人たちをターゲットするべきかもしれない。一方でランゲージ・ハウスには多くのフランス人が働いている。ほとんどが男性なのだが皆それぞれに日本人の奥さんやガールフレンドがいる。中には子供のいるスタッフもいて家庭でのバイリンガル教育に熱心である。彼らと話していると日本ではフランス人とのカップルが増えているという。確かに仕事以外でもこの組み合わせのカップルにはよく会う。フランスでも何人かのカップルに出会った。この現実を裏付けるためにフランス大使館や東京にあるフランス商工会議所などでマーケティングをした。現在フランス政府公認の学校は板橋区にある。また北区に新しくフランス語幼稚園が開園されるらしい。しかしどこもバイリンガルではなくフランス語のみの教育である。私が手掛けたいのはフランス語と日本語の基本バイリンガルに英語教育を挟むサンドイッチ教育である。学校を作るなら夢がないと作れない。こうしようああしようと描けなければ学校はできない。
フランスの学校は3歳〜6歳がキンダー、そこから12歳までが小学校となる。0〜3歳までのナーサリーは有料であるが、幼稚園、小学校は基本的に無料である。私立校やインターナショナルスクール(現地ではアメリカンスクールかブリティッシュスクールに分かれる)は法外な学費をとるが、語学をしっかりさせたければ選択肢としては適切かと思う。何故なら小学校での英語教育は将来的に期待できないのが現状である。公立の小学校では3年生から週に2時間、フランス人教師によって英語が教えられている。しかしフランス人の児童に適した教材を使用しているわけでもなく、教師の技量に左右される。テキストブックはイギリスの市販のものがほとんどで日本の英語塾のものとあまり変わりはない。教育委員会でのミーティングも話しが英語になるとあまり積極的ではない。
曰く「フランス人は美しいフランス語を話すことが何よりも大切です。これなくしての英語教育はありません。」と言い切るが、このセリフは何処かの国でも聞いたような気がする。確かにフランス語は美しい言葉で、フランス人のプライドは言葉にありといっても過言ではない。しかし社会は刻々と変わり、EUの中でも英語が下手くそな国の一つに数えられているフランスはその現場を直視すべきである。またそれ以上に心配なのは我が国日本である。すでにフランスで失敗している小学校英語教育と同じものをこれから小学校に導入しようとしている。一体この根拠はなんなのだと問いたい。(続く)
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