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ILH代表黒部のブログ

親力




「おやじから」と読んでほしい。コロナの時代に親力が活躍する。

親力は大変である。発揮するのが大変である。体力も気力もいる。しかし子供達は長い将来に渡って親力を崇拝してくれる。私ごとを事例にする。ニューヨークで子育てをしている時に何度となく大雪に見舞われた。ニューヨークの雪は1日がつりとふり、夜中に氷のように固まり、朝になると交通マヒが起こる。

当時5人の子供達は別々の学校に通っていた。マンハッタンのセントラルパークを挟み西と東に長男と次男、北のブロンクスに長女、南に次女、三女は幸いにもアパートの真下が保育園だった。雪になると街は大渋滞に陥り、スクールバスの遅れは1時間以上になるのだが、時には定刻前に到着したりと毎日の時間が読めない。ニューヨークの真冬、バス停に立ちっぱなしでいつ来るともわからないバスを待つのは、冷凍庫の中でかき氷を食べるぐらいの寒さを覚悟しなければならない。そこで決断したのは徒歩で迎えに行くという選択だった。

これは寒いからという理由だけではない。大渋滞の中マンハッタンを1時間半以上をバスに乗りっぱなしだと子供も疲労する。次男は喘息持ちで食も細く小さい。バスから降りて来るとスルメイカのようになり家に着く頃には食事もしないで寝てしまうことも多々あった。となると宿題もしない、友達と遊ぶ時間もない。おまけにスクールバスは月額¥40,000と恐ろしく高い。

さて、徒歩で迎えに行くといっても長男と次男の学校のお迎え時間差は35分しかない。まず保育園に通っている三女をピックアップしベビーカーに乗せ、地下鉄で次男のいるWest side7thAve89丁目に向かう。接続がよければ15分、悪ければ20分で到着、そこから徒歩で二つのアベニューを横切りセントラルパークを横断する。ニューヨークの街はアベニューとストリートによって碁盤の目になっているが、アベニューはマンハッタン島の東からYork, First, Second, Third, Lex, Park, Madison, Fifth, 6th,
7th, 8th 9th, 10th, 11th, West end
となる。アベニューの幅はかなり広く一つを横切るに5分ぐらいかかることもある。6thから向こうはセントラルパークを横切ってWest sideとなる。長男の学校はEast sideの62丁目、次男は7thアベニューの89丁目にあった。この距離を最短で繋ぐにはセントラルパークを徒歩で、というより競歩で横切るのが早かった。

行きはベビーカーを押して走る私のスピードを考えればよかったが、帰りは次男が一緒だった。当時小学校1年生だったので徒歩では時間がかかる。そこでローラーブレイドを履いてもらうことにした。本人も楽しみながら付いてこられるので正解だった。問題は冬、それも雪に覆われたセントラルパークの横断だった。ベビーカーは無理なので三女は友人に預けた。雪でもセントラルパークを横断しないことには長男のお迎えが間に合わない。方法は一つ、スキーを履いてもらうことだった。私は家から子供用スキーを抱え地下鉄に乗った。次男は元来スポーツ好きなことも幸いして何とか雪の季節を乗り切った。こんなことを毎日3年間続けた。今考えると送迎時間の合計は2時間あまり、午後の時間の大半はお迎えで終わる。でも楽しかった。親として子供達と一緒の時間を共有している充実感があった。三女を預ける友人を日毎に探すのには苦労したが何とか乗り切った。親力とはこのようなことを言うのではないかと思う。ようは子供のためなら何でもできちゃうと言うことである。できる、ではなく、できちゃうのである。コロナで日々悶々としている保護者の方々には、最大限の想像力と創造力を発揮してもらい、子供達が驚くような作戦を日々生活の中に取り入れてあげれば、コロナが終了した時に安堵感以上に親としての達成感が生まれるのではないかと考える。あと少し頑張って欲しい。

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