日本の子供達の行く先
毎朝Podcastでニューヨークタイムズの論説を聞く。最近オリンピック開催間近の日本の状況を話しているのを聞いて、驚くほど日本国民の気持ちを読み取っているのに驚いた。4回目の緊急事態宣言を受けた国民の怒りと戸惑い、コロナワクチン接種計画実行のスローで無計画な状況、これによる国民意識の低下など、経済の停滞感などを含めたリポートを聞いていると、日本の政治家以上に国民を考え考慮した内容を話している。そしてもう一つ、日本の子供達の行く先を危惧しているコメントにはギクリと胸がつまる思いだった。
内容は日本の富裕層が子供の教育をどのように考えているかということであった。最初に塾の話があった。以前は国内のエリートコースに乗せるための貴重な通過点であったが、今は塾より海外での教育に興味の対象が移っているという。海外での教育といってもビザの問題や学校の選択などクリアーしなければならないハードルが沢山あるが、富裕層の選択は家族全員での日本脱出である。
コロナでリモートワークが一般的になり、国をまたいでの仕事が可能になった。そんな彼らは日本の現状に愛想を尽かし、海外に将来の視点を置く富裕層が増えてきたのは間違いないとレポートしている。今まで富裕層の選択肢として選ばれてきたインターナショナルスクールについても興味深いコメントがあった。日本のインターナショナルスクールは世界に通用あるいは適応できなくなっているとの話だった。一番の理由は英語のアカデミックレベルが低いこと、例えば日本のインターから海外のインターに移籍するとESL(English a second language)を取らなくてはならない日本人生徒が多く、英語のボキャブラリー不足や基本知識の欠如から、将来グローバル企業への就職を希望していても日本人にはかなりハードルの高い現実があるという。また日本のインターナショナルスクールに通う生徒たちがカジュアルに使うジャングリッシュという英語と日本語のチャンポン言葉からの脱出もなかなか難しいという。以前はインターナショナルスクールに行けば商社や外資系企業への道が拓けていたが、これらの企業は日本人より3カ国、4カ国後を話すアジア系を採用するようになっているという現実もある。
そして話は日本の教育現場を危惧していた。まず日本の教育を牽引するリーダーが存在しないということ、日本の子供達をこう育てたい、こう学ばせたい、こう成長させたいという指針がないこと。また何よりも日本人が危機感として教育の遅れに気がついていないことをあげていた。そんな時日経を読んでいたら日本の教育現場にいる教師の免許に更新義務がなくなったというニュースにショックを受けた。海外では教師の免許更新にはその都度テストが行われ、実際の教育現場に適応できるかなどの判断基準を設けている。日本もつい最近まではあったはずである。廃止の理由は定かではないが、教師が抱えている多くのタスクを削減する目的であるとすれば、どうでもいいような報告書こそ削除し日本の教師の品質を維持するためにも更新時のテストだけは継続してほしいと強く望む。
国の将来は子供達にかかっている。しかし人々は混沌とした日本の今に不安を感じとてもじゃないが将来のことなど考えられないという人々で溢れている。教育もどうでもいい目先のことにこだわり、大切なことが置き去りにされている。ニューヨークタイムズの話は全て英語だったが、もし時間があれば日本を外から見た人たちの助言を聞いてほしい。
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