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ILH代表黒部のブログ

黒部さん家の教育回顧録 2016

黒部さん家の教育回顧録

国連学校の話をする。といっても国連が経営しているわけではなく、アメリカニューヨーク州マンハッタンにある一私立学校である。ただ何故か国連職員や外交官の子弟が多く、先生達も様々な国から来ている。
私たちの子供達も上の2人の女の子が低学年を過ごした。国連学校を選んだのはアパートに住む主人の同僚達の殆ど子供を送っていたこと、他の私立に比べ学費が安かったことがある。国連学校の長所は、世界中の子供達が集まっていること、先生も、音楽はアフリカ人、体育はロシア人という具合にかなり国際色豊かである。短所はといえば英語のレベルが高くないことと、高学年になればなるほどアカデミックなレベルが低くなることだった。
私の娘達は小学校一年生で入学した。担任は長女がベネズエラ人、次女がミャンマー人だったと記憶している。国連学校ではフランス語が必須となっていて、これはベルギー人が担当していたと思う。フランス語を話せるアメリカ人がベルギー訛りのフランス語は田舎臭いとか言って馬鹿にしていたのを思い出す。
私と主人にとっては国連学校での保護者体験は非常に有意義だった。世界中から一癖も二癖もある親達が集まっているのだから保護者会などはちょっとしたショーを見ているようだった。
ある日の保護者会はこうだった。
「ところで校長先生、あなたはさっきから国連学校が生徒達にできることばかり語っていますが、できることが多すぎて説明に時間がかかり過ぎます。逆に出来ないことを端的に話して下さい。」
「私の息子は学校のカフェテリアは不味いものばかりだっと言っています。私は学費だけでなく、息子の食費も払っているので、それに見合ったものを出してもらわないと困ります。」
「うちは夫婦ともフランス語で話します。ただ最近息子のフランス語がセネガル訛りです。
フランス語の先生は何人ですか。」
で、これに対する答えは決まってこうだった。
「平和を愛する心があれば全て解決されます。お互いシェアーする気持ちがあれば問題は起こりません。」当時の校長先生はインド人だったが、ちょっとした新興宗教さながらの演説で、
なになに、平和が有れば子供の問題は解決するのかと、うっかり信じてしまいそうになる。
ある保護者は「校長先生、ここは教会ではありません。学校です。」
といった具合で、なんとも微笑ましいというか、ノンビリというか、しかし子供達の学年が上がってくるとそうも言っていられない。平和だけでは解決できないことがたくさん出てくる。そのひとつが英語力だった。日本でもおこなわれるような全国学力試験のようなものがアメリカにある。学校単位でうけるのだが、国連学校のスコアーが今ひとつ振るわない。授業も緊張感に欠ける。子供達を見ていても国連がそのまま来てしまったような、平和というか緊張感がない。そんな現実が見えてくるといてもたっても居られずに転校を考え始めた。

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