Thanksgiving 2022
日本では馴染みのないThanksgivingは、アメリカやカナダでなどで祝う祝日
の一つである。アメリカでは11月の第4木曜日に行われる。日本では感謝祭
ともいう。歴史的にはイギリスからマサチューセッツ州のプリマスに移住した
ピリグリムの(清教徒)が1620年にプリマスに到着したが、厳しい冬の中
食料不足で多くの死者を出したが、翌年ネイティブアメリカンからトウモロコシ
の種を分けてもらい、その栽培をはじめることで生き延びることができたとい
う背景がある。
さて、私のアメリカ生活で体験したThanksgivingの印象は「食べる」というこ
とに尽きる。当時主人が勤務していた国連ではThanksgivingには近隣の町から
Thanksgivingに国連職員を招いてくれるボランティアファミリーを募集する。
私が最初に招待されたのはコネティカット州にある大きな赤い屋根の牧畜倉庫
と、だだっ広い庭とプールを持つアメリカ人の家だった。ホステスを務めるル
ースというおばちゃんは当時80歳で大きな屋敷に一人暮らしだった。ただど
うもお片づけが苦手なようで、バスルーム(お風呂とトイレが同居している場
所)で見た山のような化粧品の散乱状態はハリウッド映画のようでアメリカに
いる気持ち100%にしてくれた。少なくとも20本の口紅が散乱していた。
このおばあちゃんはThanksgivingの準備を2週間前から始める。まずメインデ
ィシュのTurkeyは4日前から解凍を始める。大きさは色々であるが10キロぐ
らいの大物が一般的だ。そのお腹の中に詰めるスタッフィングは大粒のパン粉
のようなものを湿らせて香辛料やハーブを入れてTurkeyの臭みを和らげる効果
がある。日本であまり馴染みがないのは、この独特の臭みが日本人には受け入
れられないのではないかと私は勝手に思っている。実は私自身あまりTurkeyが
好きではない。調理前の丸ごとの姿を見るにつけ、この鳥が生前に持っていた
立派な羽根とかを思い出すと食欲が失せる。それと顔があまり可愛くない鳥で
、ようは美味しそうな容貌ではない。Turkeyの付け合せにはマッシュポテトと
クランベリーソースがつきものである。このクランベリーソースはTurkeyの淡
白な味を引き立てるような役割だというが、お肉に甘いソースはどうも合わな
いような気がする。これをアメリカ人に言ったら、「では一体日本人が魚を煮
る時にどっさりと入れる砂糖や味醂はどうなっているのだ?」と言われてしま
いそうだが。
ルースおばあちゃんのお得意はコーンブレッドとポーリッシュソセージだ。私
はこの二つが大好きだった。なんとなく開拓時代の雰囲気がいい。おばあちゃ
んはすべてのメニューを自分1人で作っていた。制作にかける4日間を楽しん
でいて、日本から来た、見知らぬ家族でさえ、おばあちゃんの家族の一員にな
ったような気分になるホステス力の強さは見習うところが多かった。
私はこのおばあちゃんとは亡くなるまでのお付き合いだった。彼女の4人の息
子たちはスーパーアメリカンワイルドボーイズと言えるような破天荒なおじさ
んたちで、それぞれにビジネスを成功させていた。生前おばあちゃんから、ボ
ーイズが小さい頃、ポリスが家にきては息子たちのしでかした犯罪一歩手前
のいたずらに何度も頭を下げたというが、内心は「息子よ、でかした!」とい
う誇らしい気持ちになったというから太っ腹なおばあちゃんだった。こんな母
親が成功者を育てるのかもしれない。
さて、今年もランゲージではThanksgiving partyを開催した。コロナの第八派の
心配もあり小規模になったが、小規模になったのはパーティーだけではなかっ
た。主役のTurkeyも輸入原価の高騰で一羽がなんと一万円以上という高額。こ
れはネット価格で、店頭では一万五千円という高値がついている。 これもウ
クライナとロシアの戦いの影響か。結局外国人スタッフが五千円のものを見つ
けたというので買って来てもらったら、近所のストアーで売っている鳥の丸焼
きぐらいの小ぶり、どこから見てもTurkeyには見えなかったが時にはこんな
Thanksgivingも一つの思い出になるのだろうということに考え直した。大切な
のは家族ではないものたちが集まり、家族のような絆を作り、また明日から頑
張って仕事をしていくことなのだと。A Happy Thanksgiving everyone!
カテゴリ: お知らせ