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ILH代表黒部のブログ

ランゲージ?ハウスの目指す教育 2

ランゲージ?ハウスの目指す教育 2

さて、ホームスクールについて、アメリカで見て来た体験からもう少し話をする。ニューヨークでブルガリアから来たファミリーで出会った。奥さんはブルガリア航空のパイロット、ご主人は大学でブルガリア文学の非常勤講師をしていたが、英語でコミュニケーションをとるのはなかなか難しかった。娘のアナは一人っ子で、面倒はいつもご主人がみていた。アナが幼稚園に上がる年、夫婦はホームスクールを選択した。理由はアメリカの幼稚園の月謝が高すぎるということだった。たしかにアメリカでの幼児教育にはお金がかかるが、ブルガリア航空の幹部なら支払いに問題はないだろうと、私も興味本位でそれとなく聞いてみた。彼女いわく、幼稚園が月謝を払うに見合う教育をしてくれれば文句はないが、アメリカの幼稚園はカジュアルすぎてマナーもなく、自己主張はするが相手の話を聞く子供に育たない、と辛口の意見だった。
もうひとつホームスクールを選択したファミリーは、アメリカ人のファミリーでご主人はもと保育士、奥さんは夜クラブで働いていた。非常に教育熱心なファミリーで、将来子供をスタンフォード大学に入れたいという明確な目標を持っていた。ご主人がホームスタディープログラムを作っていた。良くできていて、毎週1回はメトロポリタン美術館に通い、パパによる水泳レッスンランニングと体を鍛えるメニューも組まれていた。またセントラルパークが子供たちで込み合う時間をみはからって、集団の中で遊ばせることをも実践していて、実はこの家族子供が3人いるのだが、一人はベビーカー、一人は歩き、一人はパパの背中におぶわれての公園が通いだった。さて、ふた家族とも子供たちが小さい頃のホームスクールは順調そうだったが、年長ぐらいの年になるとそう簡単ではなさそうだった。ブルガリアの方はアナが友達を求め始めていた。語学力ある子で、英語が今一のパパと過ごしていても、テレビなどの影響なのか、英語でのコミュニケーションのできる子だった。でもアナがもっと遊びたくても、幼稚園の子供たちとの接触は外遊びの時ぐらい、パパとお家に帰りたくなくて、よくだだをこねていた。アメリカ人の方はというと、夫婦の離婚だった。この現実によってご主人の教育モチベーションが低下してしまったようで、以前のように勢力的には子育てしていない感じを受けた。
ホームスクールは親の意思で選択されるものであるが、この二つの例のように、これもまた親の都合や、子供の精神的成長の変化についていけないことが様様にしてある。その後、ふた家族の子供たちは、私の子供たちと同じ幼稚園に入園してきて、まるで水を得た魚のように元気に集団になじんでいた。
私がアメリカで見たホームスクールの実際は、朝日新聞に書かれているようなホームスクールを個性的なものとして肯定的に取り上げる記事を鵜呑みにしないでくださいという思いがある。個性的とは集団の中でこそ、魅がかれ光っていくものだと考える。子供の教育は、彼らが社会に出たときに困らないよう、また役立つための基盤を作り、その上に個性を育てていくことが、より現実的だ

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