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ILH代表黒部のブログ

日本のサッカーが勝利するためには。

World soccer cup が終わろうとしている。
日本初戦の日、スーパーに買い物に行ったら店内は空っぽ、恐ろしいほどにシーンと静まりかえっていた。
それほどにほとんどの日本人がテレビに釘付けになり、日本の勝利を信じてゲームを観戦していた。私は熱烈なサッカーファンではないが、日本チームが一生懸命にプレーしている姿を見ているとやはり勝ってほしいと思うのは日本人すべてに共有した気持ちだった。
ただ、正直なところ、私は日本人が優勝することは、日本の社会が変わらない限り不可能に近いかとも思っている。もっと具体的に言うと、日本から学習塾や習い事教室がなくならない限り、継続的に勝利をおさめていく事はかなり難しいと思っている。これを痛切に感じたのはブラジルに行ったときに見た子供達の遊ぶ風景だった。フラジルにもゲーム機に興じる子供はいるが、それよりもなによりもサッカーである。というよりボール蹴りで遊ぶ。朝夕涼しい時間はイパネマやコパカバーナのビーチには子供達があふれている。サッカー教室というわけではなく、親や近所のお兄ちゃんと一緒にボールを蹴って遊ぶ。砂地なのでフットワークが強くないと走り回れないのだが、力強くボールを蹴る姿は将来の選手を思わせる。また、路地裏に入ると
そこでもボール蹴りに夢中な少年達がたくさんいる。壁に書いたゴールの前でキーパー気取りだったり、2&2で巧みにゲームをしている姿は日が落ちても続いている。ブラジルだけではない。コスタリカの首都サンホセに行ったときも、びっくりするほど多くの子供達が道ばたに出ていて通行人などなんのそのでボール蹴りをしていた。ドイツで実際にサーカーをする子供達を見た事はないが、ニューヨークで出会ったドイツ人すべてはサッカーゲームがテレビで始まるというと、電話にも出ないで観戦するという熱の入れようだった。中には、仕事をなげうって、恵まれない子供達のためのサッカーチームをたちあげ、見事地区優勝を果たした友人もいる。彼の奥さんは元東ドイツ領から来ていたが、サッカーに対する思い入れはちょっと日本のママ達にはまねのできないほどに強く、一緒にテレビなどを見ているとドイツ語で怒鳴るから怖いぐらいだった。
話をもどす。日本の子供達がサッカーに出会うのは幼稚園頃からと思う。そこで興味を持った子供達はいわゆる有料のサッカー教室などに入り、小学校に上がっても継続していく。私も新横浜やみなとみらいなどでの練習光景を見る事があるが、なんというか、あのブラジルで見たようなとてつもないパワーをその練習から感じることは残念ながら一度もない。
私はサッカー業界のことを良く知らないから偉そうなことは言えない。ただ、もう一つ疑問に思う事がある。日本人は昔からチームワークで仕事の成果を上げていく国民性を誇っていた。営業も、技術開発も日本人のすばらしいチームワーク力によって多くの成功がもたらされてきた。しかしこのチームワークというものは日々の共同生活でのみ作られるものではないのだろうか。日本の各選手がイタリア、ドイツ、スペインという強豪チームで活躍している。それぞれのチームで技を磨き、またプロのサッカー選手としての知名度も高まる。しかしである。それぞれの選手が良いものを培ってきても、それをチームワークの中で活かせなければそれまでである。インスタントでベストチームを作っても、1年、2年といつも一緒に練習して作り上げたチームワークとはどこかが違っているような気がしている。私は学生時代にヨット競技をしていた。こんな海の上の小さな競技でさえ、クルーとスキッパーのチームワークが勝利を分ける。1年間一緒に練習して初めてレースに望むのチームワークができあがってこそのものだった。
日本チームを応援してブラジルに行ったサポーターの人たちの中には、この4年間節約をしながらお金をため、一人当たり渡航費、ホテル代、観戦代を合計すると150万はかかると言われている。私の心配することではないが、エクスペディアなどで格安チケットを購入したり、ホテルを予約したりした人もいるかと思うのだが、日本の勝利を信じて閉会までブラジルに滞在する予定だった人たちなど、格安券は変更などできず、できたとしてもペナルティーフィーなどを取られることを考えると、予選大敗で予定が狂った人たちも多かったのではないかと思う。もちろんサポーターの方々はそんなことも覚悟でブラジルに行かれたと思うが、家族で行かれた方たちの経済的ダメージは小さくはなかったと考える。
もう一度日本人は、どうしたら将来ワールドカップで勝利できるかの、日本の社会も巻き込んだ大きな企画書を作成することをせまられているのではないだろうか。これができない限り、どの監督が就任しても結果は変わらないかもしれないと思うのは私だけだろうか。

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