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ILH代表黒部のブログ

黒部さん家の教育事情

” Back to School” このチラシが新聞と一緒んび送られてくるのは8月中旬、この時期はまだ実感としての新学期はないのでふんふんと内容には関心がない。8月下旬になると金持ち連中がサマーハウスから帰ってくるので街の人口も元に戻る。このころからやっと新学期を意識する。
 海外の新学期は9月から始まる。日本も一時東大が9月始まりに手を上げたが却下された。私の子育て経験からだと4月始まりが親にとってはうれしい。9月はまだ暑いし、夏休みに使いすぎたお金の心配もあり、生活のペースも元に戻らないまま新学期というのはきつい。特に大学一年生を抱える親にとっては、生活物資一式を車に積み込んで大学の寮まで送るというアメリカの伝統とも言うべき儀式は、飛行機で行けばいいのにと思うところも、わざわざ2〜3日かけての車での移動、その出費はかなり家計を逼迫させる。ただこの儀式の後、子供達は少しづつ親離れをしていくことを考えると、大学までの家族ドライブは貴重な思い出になる。
 5人の子供達の新学期はというと、ドタバタの茶番劇となる。日本のように初日は顔合わせだけというのはなく、いきなり授業が始まったりするから、準備に不備があったりすると、当日の朝はとんでもないことになる。まず健康診断証明書。これはホームドクターに書いてもらうのだが、保険適応せずで一人$100。
内容はというと聴診器でもしもしして、身長体重を計り、後は問診。これだけで$100とはぼられているとしか思えないのだが、この紙が無い限り進級も進学もできないことになっている。次は授業料支払い証明。アメリカの学校の授業料は一括払いか、タームごとの3期払い、月謝というシステムはない。9月はその第一期になる。私立は安くても年間250万はする。となると9月には80万以上のお金を用意しなければならない。で、これが上の3人に同時発生すると黒部家の家計は火の車となる。だったら公立に行けばといわれそうだが、公立と私立の教育の質はあきらかに異なる。特にマンハッタンに住む親ならピーナツバターサンドイッチが夕食になってもなんとか私立に通わせたいと思っている。私もその一人だった。実際主人の国連勤めで教育費の7割が援助されたので、後はおばあちゃんたちの世話になりながらなんとか切り抜けたが、納付期限を過ぎてしまう事も多々あり、差し押さえにはいたらないものの、明日中に納付がない場合は退学処分などというのはよくあった。今考えると3人のために250万近いお金を9月1日までに調達しなければならなかったのだから、まるで会社経営のようであった。
 5人の子供達、幼稚園は同じ園に通ったが、小学校からは4人とも(5人目は幼稚園)別々の学校に通わせた。というのは後日談で、上の二人は国連学校(UNIS)に通っていた。名前は国連だが、実は私立の学校で、たまたま国連関係の子弟が多く通っているのと、他の私立より若干授業料が安かったので通わせていた。
なぜか校長先生を筆頭にスタッフにはインド人が多く、保護者会で質問をしても答えはいつも”Peace and share”だったので狐につままれたような気分になることがほとんどだった。ある日校長に聞いた。「で、ミセスリベロ、あなたのお話だとこの学校では生徒のためにあらゆることができるとのお話ですが、逆にできないことを教えてください。」すると彼女は答えた。” We can do everything, peace and sharing” この後私は真剣に別の学校を探し始めた。(つづく)
 

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