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ILH代表黒部のブログ

ママの声の届く大切さ

ママの声が届くことの大切さ

英語リトミックのクラスでいつもママ達にお願いすることがある。”repeat after me”である。リトミックでは英語の曲を分かる範囲でいいので一緒に口ずさむことをお願いする。何故なら1〜2歳児の耳にはママの声がダントツに早く届く。曲の中の歌声は軽く認識するが、私の声など雑音程度の認識しかない。
ママが声を出すたびにベイビーたちの言語がより育まれるということである。
面白いのはそのリピートが英語ではなく日本語の場合もある。例えば”This is red”というと、「ほら、赤だってさ」と訳してくれるママ。黙っているよりはよっぽどいいので思わず微笑んでしまう。

最近「日本語はなぜ美しいのか」(黒川伊保子)と「英語教育の危機」(鳥飼玖美子)という本を読んだ。どちらも英語教育の危機と、現在の英語教育を憂いた見解を述べている。特に黒川さんは手厳しい。「日本人がその風土で培われなかった言語を使うようになるのは危険である。」とした上で、日本人の外国語教育の開始適正年齢は12歳、ただクリエイティブな職(事業家も含む)につきたければ8歳頃からが望ましいとしている。黒川さんご自身がAI開発に関わる言語学者であるので、脳の発育を科学的に捉えての意見なのだとも思う。曰く、脳は3歳までに母親との密接な関係により言語構造の基盤を作り上げるとし、3歳までは母親たるもの赤ちゃんに喋りまくれと言っている。3歳からは言葉の語彙が増える。語彙とは記号として口に出せる言葉のことで、脳の中には記号化していない言葉の卵が実際に口に出る言葉の何千倍も詰まっているので、この時期にあって外国語の入る余地はないとの意見もある。確かに一理あるが、言語学だけで
絶対にそうと判断されては困る。何故なら私の子育て体験の中で出会った諸外国のママ達は、時に3ヶ国語ぐらい日常的に話す。例えば中国人の友人はご主人がアメリカ人なので日常は英語、母親も同居しているので昼間は中国語、お手伝いさんがチリ人なので必要に応じてスペイン語となる。その間にいるベイビーは質全的に言葉の卵が増えていくのだが、このベイビーが幼稚園に上がる頃には3ヶ国語を使い分けていた事実があるので、言葉の引き出しは一つの言語とは限らない。

私の持論だが、英語を習ったからといって日本語がダメになるという考え方は極論すぎる。まるで戦争中の日本軍のようだ。それよりも日本語と英語の共存が産む利点をしっかりと捉え、それなりのシステムの上でバイリンガル教育をすることが子供達の将来に有益なプレゼントを残すと考える。マスコミは英語へのバッシングに走っているようで、大人達の技量の狭さを感じる近頃である。

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