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ILH代表黒部のブログ

品川駅の立ち食い寿司

 インターネットで発信される世界中の情報の25%が英語で発信されているという現実がある。つまり世界の4分の1の情報は英語がわからないとキャッチできないか、遅れて届くことになる。例えば、ある惑星から巨大隕石が落ちてくるという情報が英語サイトにはあっても、日本語サイトには時間差で届くとして、その時はすでに時遅しとなることもあるかもしれない。いやでも世界の経済が英語を共通語として動いている現実を無視することはできない。。。。。というようなことを考えながら、私は品川駅構内にある立ち食い寿司屋に入った。その夜は東京で大きなお通夜があった。近頃では珍しくテントを張った大きな通夜で、コロナ禍ではあり得なかったお清めの品々が並んでいた。しかしその夜は蒸し暑く、いくら酢で締めた寿司とはいえ、これを通夜の場所で食するにはリスクが高いと思い食べるのをやめた。数年前に品川のスポーツセンターで教えていた頃に立ち止まった寿司屋によることに決めた。

さて、立ち食い寿司と英語の関係である。私はカウンターに留まってお寿司を注文する人たちの立ち振る舞いや、寿司職人たちとの会話を聞くのが好きで、黙って聞いてはいるものの、心の中ではどちらかの会話を応援している。品川駅には外国人が多い。周辺には大きな企業が多く、京急羽田が通じているので、空港からも近い。そのまま新幹線に乗り換えることもできる。したがって立ち食い寿司には外国人も多い。それぞれに寿司アプリを使ったり、カウンター越しに新鮮なネタを指さして注文したり、日本語を勉強しているらしい外国人は、壁にかけられたメニューを読み解きながら注文している。その姿はみんなテキパキしていて迷わない。テキパキとしているのは外国人だけではない。日本人の寿司職人も小気味よい動きと、英語での対応に品川駅のエネルギーを感じる。私の前で握ってくれた職人さんは、ほぼ全てのネタを英語で言えていた。ネタの中にはスペイン語がそのまま英語名になったようなものもあるが、ネタの出身地さえ知っていてなかなかの博学である。もう一つ私が興味深く感じるのは、個人事業主風日本人のオーダーの仕方である。このタイプの人たちには注文方程式みたいなものがある。まずカウンターにつく。目の前に笹の葉のお皿が出るまでにざっとガラスケースに目を通す。次のグラスビールを注文する。なぜかジョッキよりグラスが多い。一口飲み干すと壁のお品書きに目を通し、サクサクと注文を始める。自分の好きなもの3種類を値のはる順から注文する。高いネタを最後にしないのは、このタイプの共通した注文の仕方である。次に旬のネタ、そして締めにはシンプルに干瓢巻きなどを注文する。この間約20分、ダラダラとカウンターに留まらない。これは私の独断と偏見だが、これらの人たちを見ていると、堂々としていて、経営力を感じるのである。ビジネスに例えるなら、ガラスケースのネタで本日のマーケットを確認し、注文がきで季節の動きを探り、即決即断で食べたいネタを注文する。お酒は楽しむというより、お寿司を食べるためのメンタルを仕事からプライベートに切り替える。もう一つ加えるなら、外国人が突然話しかけてきたり、ネタの質問をされたりしても、この手の人たちは英語で堂々と答えている。英語が話せない場合は、日本語で対応もしている。

日本全国津々浦々立ち食い寿司はたくさんあるが、品川駅構内のそれは良い意味で社会の姿を表している。もちろん立ち食い寿司を利用する目的はさまざまであるが、一杯のビールで1日を振り返り、カウンター越しの会話を聞き流しながら、サクッと自分の欲求の満たすままに寿司を食する。外国人もそんな日本人を笑顔で眺めている。これはまさに日本の誇るべく文化そのものである同時に、こんな立ち食い寿司に日本人と外国人がそれぞれの領域を犯さずに美味しいものを食べ集うことで、無理に会話をしなくとも、笑顔やアイコンタクトで話ができる。英会話を学習するなら、時としてこんな場所に身を置いて、ニュアンスで英語を聞き取っていくことも楽しいと思う。少なくともネタの名前を英語で覚えるだけでも効果がある。ちなみにFatty tuna(大トロ)Pickled tuna(漬けまぐろ)Greater amberjack(カンパチ)Amberjack(ブリ)Conger eel(穴子)Mantis shrimp(しゃこ)などなど全てのネタは英語で訳されているが、最近多くの外国人は日本語読みで注文している。これも日本文化の誇るべき部分であるが、逆に回転寿司はタブレットの普及が進みすぎて、寿司文化の一部が崩壊されているような感じも受けるこの頃である。

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