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ILH代表黒部のブログ

年の初めに

2014年が明けた。いつもと同じ朝を迎えるだけなのに、ほとんどの日本人が、自分にとって特別の朝を意識する年に一度の朝だ。日本人の新年に対する思い入れは、世界でもダントツに強い。昨日の大掃除は朝早くからてんやわんやで、午前零時までにいろいろなことを済まさないといけない。というか忙しくないといけないらしい。新年に食べなくてはいけないおせちの支度、神様が新年にやってくる時によくわかるように家々にはお飾りが付けられ、新年の挨拶である年賀状は元旦に届くように準備する。除夜の鐘がなる前に蕎麦を食べ、近くにお寺があれば除夜の鐘を突きに出かける。とにかく12月31日に、こんなに忙しく、しなくてはならないことのある文化は、世界広といえども、日本をおいて他にはない。ところが最近この文化に変化が起こっている。まずおせちは作るものではなく買うものになった。10月のハロウイーンが終ころから、おせちの予約広告が目につくようになった。外国人などがその広告を見ると「ターキーのすぐ後にNew Yearのお弁当を考える日本人は宇宙人よりすごい!」とびっくりする。確かにおせちとクリスマスケーキの広告が寄り添ってコンビニの店頭に出てくると、新しい意味での日本文化を感じる。大掃除も忙しいのはダスキンぐらいかもしれない。私が子供の頃、母方の実家が寺だったせいか、大晦日になると仏壇の小物をホリッシュとかいう液体で磨く手伝いをさせられた。磨いてもなかなか奇麗にならないし、お小遣いを貰えるわけでもなかった。が、数日後にはお正月、つまりお年玉の額を見越しての手伝いだったので簡単に職場放棄できなかった。 自分自身の身支度を整えるのも、お正月を迎えるに大切な儀式だった。小学生の頃、近所の友達が新日本髪とやらを結うのが羨ましく、私も母親にせがむのだが、「お家のお手伝いをしたらね。」とあしらわれる。私は家の手伝いをするより、よそで働いた方がましと思っていたので、小学校6年の時に近所の八百屋に頼み込んでアルバイトをさせてもらった。今考えると、雇う側も迷惑千万だったと思う。しかし寺の孫に頼まれては断る訳にもいかなかったのだろう。「美子ちゃんはすき焼きの具係おねがい。」ということになった。白滝と焼き豆腐、ネギの販売を担当した。白滝は今のようなビニールパックではなく、樽の中の冷たい水にふよふよ浮いているようなやつで、手を入れると全身が縮み上がるように冷たくなる。焼き豆腐も同じ。ネギは泥ネギの束から、お客が買い求める本数だけ抜き出す、なので手は真っ黒になった。さて、八百屋の話はさておいて、アルバイトが終わって美容院に駆け込む。その時分は大晦日というと新日本髪を結いにくる女性たちで満員だった。でも簪を付けてもらい、スプレーでカチカチとした髪になると、明日はお正月というやる気満々の気分になるから不思議である。着物は二の次、とにかく新日本髪がお正月そのものだった。除夜の鐘を日本髪でつくと、なんとなく気分がよかった。今は全身ユニクロである。地球温暖化になっているのにである。
さて、ここで改めて日本の大晦日とお正月の今を考えてみたい。生活が便利になったせいか、大晦日は昔ほどの忙しさはなくなったが、作ることの騒がしさがなくなった分、買うことの忙しさに翻弄されている。お正月はというと、1日から大売り出しを始める店が出現しているせいか、いつもの日常とかわらないお正月があってしらけてしまう。1日から買い物に出かけないと一年に乗りおくれてしまいそうな、だからカルタ、百人一首、羽根つき、花札、福笑い、書き初め、凧揚げなどといった日本文化を象徴する日本のお正月などやっていられないのだ

2014年、ランゲージ?ハウスの目標は、日本人のためになる英語教育である。
日本人が自国の文化に誇りを持ち、それを美しいものとして海外に紹介し、同時にグローバル社会で悠々と泳いでいける、そのための語学力を養うことである。世界を見回すと、新年には親たちが子供たちに国の伝統を伝える儀式や風習が色濃く残っている国がたくさんある。これらの国の教育水準は高く、世界で活躍する若者も多い。日本はというと、コマーシャリズムに流された新年のスケジュールや儀式を適当にこなしているかに見える。今私たちはもう一度原点に戻って、日本の大人が誇りを持って子供たちに伝承できることを考えたい。せめてお正月の3日間、子供たちが自分の親を誇りに思う何かを探し、実践してみたい。

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